王女の選択
「カーラと呼ぶな」

「また始まった・・・」

リュカはお手上げ状態とでもいうように両手を上げると、そのままテーブルの食事に口を付けた。

「ジェラルド殿」

ヴィクトーは渋面の表情を崩さないまま問いかける。

「ルドルフ殿よりカーラ殿と手を組んだ方が交渉もうまくいくだろうと言う考えには賛成です。しかし、相手に隙を見せないようお気を付けください。相手はルドルフ国王。今回の奇襲のように何を考えているのかわかりかねます」

「わかっている。ルドルフ殿との交渉の前に、現状況を全て把握しておきたい。明日は王都にでて、被害状況を確認する予定だ」

「では私がお供します」

「いや、カーラからロイドを付けると言われている。ヴィクトーは城内から得られる情報を探ってくれ。ルドルフ殿の容態がどうなのかカーラは口を閉ざしたままだ。なのに三日後の交渉の席に着くとも言っているし、いくつか腑に落ちない点もある。ヴィクトー、お前ならやれるだろう」

「わかりました。しかしリュカか兵を数人お連れください。何かの罠かもしれません」

ヴィクトーの意見に反対しようとしたが、ジェラルドは口を噤んだ。

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