王女の選択
「カーラ」

ジェラルドはカーラに手を差し伸べると彼女を引き寄せ自身の両足の間に挟みこんだ。するとたちまちカーラの顔は真っ赤になっていった。

「昨日教えたはずだ。ジェラルドと呼ぶようにと。そしてその余所余所しい態度も辞めるんだ」

「でも・・・」

「カーラ」

ジェラルドは懇願するようにカーラを見上げると親指でカーラの唇にそっと触れた。痺れるような感触にカーラはハッと息を呑んだ。

「呼ぶんだ」

「ジェ・・・ジェラルド」

「もう一度」

「ジェラルド・・・」

するとジェラルドはすっと立ち上がり、両手でカーラの後頭部を抱えるように掬い上げ、静かに唇を落とした。それは戦場の時のような嵐のようなキスではなく、唯々慈しむような優しいキスだった。

「忘れるなよ」

ジェラルドはチュッと鼻先にキスをすると、隣の椅子を引いて、カーラを座らせた。朝から甘いオーラを漂わせるジェラルドについて行けず、目を反らしてテーブルにあるパンをつかみ取ると口に入れた。
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