王女の選択
ジルベールは眼を大きく見開きカーラを見やった。あの時のことを何度も考え直してみたが、それ以外の方法を思いつくことができなかった。
「彼と勝負し、わかってはいたけどあっけなく負けたわ」
ジルベールが息を呑むのがわかった。
「それでも彼は私の首を取らなかったわ。港湾使用許可料を7%まで引き下げることを提示したけど却下されて、その代わりに父と直に交渉したいと」
「国王にお話しされましたか」
「ええ。三日後に宴を開き、その場で交渉に応じると」
「・・・・それは」
「その時にジェラルド殿を殺すように言われたわ」
ジルベールは呆然としたまま何も言わずにその場に立ち尽くしていた。カーラも同じ気持ちだった。こんな卑怯な真似をすることなどありえないし、何度考えても自分にはできない。ましてやこの国のために手を貸してくれると言っている隣国の大公に対して。