王女の選択

「まさか・・・鉱山権に関係しているなどと・・・」

「関係しているどころか、まさにあの鉱山が発端なのです」

カーラは自分の足で立っていることはできず、近くの椅子に腰を下ろした。なぜあそこまで鉱山権にしがみついているのか、正直意味が解らなかった。だがまさか、あの鉱山が父の恨みの根本的な原因になっていたとは。

「その話を今すぐしてちょうだい」

「そしてぜひ私にもお聞かせ願いたい」

ハッと気づくと、階段の脇からヴィクトーが現れた。
頬に傷があるその男は、物音一つ立てずに姿を現した。ジルベールはさっと目をそらすと唇を噛みしめ、どうにかこの状況を打破しようと思案しているようであった。

いつからヴィクトーはいたのだろう。

まさかジェラルドを殺そうとしている計画から?

カーラはほんの一瞬でも気を抜いてしまった自分に怒りを覚えた。どんなに優しく声をかけられても、今のところ敵であることには変わりない。

< 62 / 196 >

この作品をシェア

pagetop