王女の選択
「まさか・・・鉱山権に関係しているなどと・・・」
「関係しているどころか、まさにあの鉱山が発端なのです」
カーラは自分の足で立っていることはできず、近くの椅子に腰を下ろした。なぜあそこまで鉱山権にしがみついているのか、正直意味が解らなかった。だがまさか、あの鉱山が父の恨みの根本的な原因になっていたとは。
「その話を今すぐしてちょうだい」
「そしてぜひ私にもお聞かせ願いたい」
ハッと気づくと、階段の脇からヴィクトーが現れた。
頬に傷があるその男は、物音一つ立てずに姿を現した。ジルベールはさっと目をそらすと唇を噛みしめ、どうにかこの状況を打破しようと思案しているようであった。
いつからヴィクトーはいたのだろう。
まさかジェラルドを殺そうとしている計画から?
カーラはほんの一瞬でも気を抜いてしまった自分に怒りを覚えた。どんなに優しく声をかけられても、今のところ敵であることには変わりない。