王女の選択
「さすがストラウスの剣豪とまで言われたヴィクトー殿。剣の腕のみならず言葉だけで我々の首先に剣を突きつけるのもお上手だと見受けられる」
「ジルベール!」
「カーラ様。どうぞこのジルベールを信じてお任せください。カーラ様のような優しい心持のお方では敵いますまい」
穏やかな表情を見せながらも、戦闘態勢とでもいうような低い声で話すジルベールにカーラの心臓は爆発してしまいそうだった。
ヴィクトーは静かにほほ笑むと標的をカーラからジルベールへと視線を変えた。ジルベールはまるで久しぶりに出会う獲物を前にしているように、挑戦的にほほ笑み返した。
「まずは鉱山権の話からお聞きしたい」
「その前に一つお約束していただきたい」
ジルベールはまるで天気の話でもするかのように窓辺に近づくと、外を見ながら注文した。
「この話の後、鉱山権を諦めていただきたい」