王女の選択
「何を・・・。失礼ながらこの期に及んで何をおっしゃっているのかわかりかねます」
ヴィクトーは怒りを抑えるように返した。
「鉱山権を諦めていただければ、そちら側の条件を全て飲むように私が国王を説得させてみせましょう」
「ふざけるのは大概にしていただきたい」
「ヴィクトー殿ではこの条件は無理というのであれば、お話は控えさせていただきます。二日後の宴までこの話は保留とさせていただきましょう。憶測にすぎませんが、ルドルフ殿は交渉前にジェラルド大公に聞いてほしい昔話があると思われますので」
気づくと形成は逆転していてジルベールがこの場を仕切っていた。
ヴィクトーは数秒間考えるように黙っていたが、諦めたのか小さくため息をつくとジルベールに軽く頭を下げて部屋を出て行った。