王女の選択

6

******


王都の被害は思ったより深刻であった。

それは戦いによってだけでなく長引く不況によるものもあり、王都全体が暗い影を覆っていた。ジェラルドはロイドと共に町外れの畑に目をやった。

「これはひどいな」

思わずそうつぶやいてしまうほど畑は荒れ果てていた。
ロイドが畑の持ち主を呼ぶとやせ細った男と小さな女の子がやってきた。男は長身のジェラルドを見た瞬間ガタガタと震えだし、今にも地面に膝をついて許しを請う勢いだった。

「ここの畑はお前が管理していると聞いている。なぜ耕さない?耕さなければ売るものもなく生活に困るだろう」

「ひ・・・人手がおらず今では家の周りだけを耕し、自分たちの分だけ収穫しております」

「これだけの耕地、かなり多くの雇用があったはずだ。人手がいないとはどういうことだ?」

「戦いに駆り出されたものがほとんどですが、病気になったりなどいろいろございます」

「この時期はどんな食物を植えればいい?」

「時期がもう始まっていますが、ジャガイモの植え付けはまだ間に合うかと。もしくは葉菜類もいくつか可能です」

男はジェラルドの真摯な質問に声を震わせながらも少しずつ口を開いていった。

< 67 / 196 >

この作品をシェア

pagetop