王女の選択
「ロイドもついてくればいい。城に戻る」
「え?」
「奥方が待っているのであろう。昼は城で取る」
小さく嘶いたジェラルドの馬は勢いよく走りだすと、ロイドは慌てて自分の馬に合図を送り後を追った。
城につくと、馬丁に手綱を渡しまっすぐに大広間へと向かっていった。
大広間では食事の準備ができており、カーラがスープ鍋を抱えたステラと話をしているところだった。
「カーラ」
名前を呼ばれ振り向いたカーラはジェラルドの様子を見て真っ赤になり、すぐさま目を反らした。
「うっ、上着をお召ください!!」
「汗だくで体が汚れている。羽織りたくない」
「で、では湯あみの準備を致しますのでお部屋にお戻りください!」
カーラはなんとしてもジェラルドの方を見ないようにしようと顔を背けていて、その姿にジェラルドは苦笑いをした。ステラが抱えているスープ鍋を覗き込み、肩を竦めると階段へと足を向けた。