王女の選択

「何をおっしゃるのです!カーラ殿はやれることを全てやっておられます。ただ、今日ジェラルド殿のお供をさせていただき、君主たる者がどうあるべきか、改めて考えさせられております。リュカ殿によると、ストラウスでもジェラルド殿は自ら動き、国民の所に出向いて話をするのだとか」


「そう・・・。きっと国民も誇りに思っているでしょうね」


カーラの言葉にロイドは口を噤んだ。ルドルフが国民にどのように思われているか、考えずとも答えがわかるからだ。

「とにかく、お昼の準備はできているわ。一緒に食べましょう」

「いいえ。ジェラルド殿はカーラ殿のために戻られてきたとお見受けしますので、私は席を外します」

意味深な表情で言うロイドを見て、カーラは顔を真っ赤にしながらスカートのプリーツを弄んだ。ロイドは微笑みながら、食事の後はジェラルドと共に橋の修復に戻ることだけを告げると、大広間から出て行った。




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