王女の選択

7


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「何かわかったことは?」

体を拭きながら、ジェラルドは入り口の近くに待機しているヴィクトーに尋ねた。

「不穏な動きがあります」

「どういうことだ?」

「ジルベールとカーラ殿が話しており、宴の場で何かを企んでいるようです」

「なるほど。宴を行うと言った時点で不審に思ってはいたが」

「それに、ルドルフ殿が鉱山権に固執する理由がありそうです」

「固執する理由?」

ヴィクトーは頷くと同時にジルベールとの会話を思い出し顔をしかめた。引退間近の年老いた宰相だと思っていたが、狡猾に話を進めていき、噂通りの敏腕な宰相だということを目の当たりにした。

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