王女の選択

「何かあったのか?」

カーラはびっくりして顔を上げたが、何も言わずに首を振った。

「ならなぜ目が腫れている?泣くようなことがあったのか?」

「・・・何でもありません。寝起きが悪かったのかも」

「其方は嘘が下手だな。交渉には向いていないぞ」

ジェラルドはそっとカーラの鼻先にキスを落とすと、腰を下ろしスープが給仕されるのを待った。パンをジェラルドに手渡しながら、カーラは城下町の状況について尋ねた。

「今朝はご一緒できず、申し訳ありませんでした。いかがでしたか」

「いくつか戦いによって破壊された場所を緊急に修復する必要がある」

「橋の修復をされていると」

「ああ。橋が修復されれば、物品の行き来がスムーズに行われるだろう。飢えた民を農作物の収穫まで待たせられないからな」

小さく頷くとともに、橋の修復によって隣国の兵がセルドウィックに侵入しやすくなることもあると口にしようしたが、カーラは何も言わずにいた。

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