王女の選択

「何か必要なものはありますか」

「今のところはない。食料等ストラウス側から持ち込もうと考えている。復興の兆しが見えてこない限り国民は立ち上がらないだろうからな」


カーラの手助けなど必要としていないのだ。
戦勝国であるストラウス側がしたいようにできる。そして今、国民は何よりも自分達の命を助け、道筋を立ててくれる者について行くつもりなのだ。
それがセルドウィックの王だろうとストラウスの王だろうと関係ない。

それがカーラを悲しくさせた。

セルドウィックの王女としてやらなければならないことがたくさんあるはずなのに、何一つできていない。これが敗戦国が待つ運命なのだ。
カーラは急に食欲をなくし、何とかスープだけを終わらせた。
ジェラルドは陽が落ちるまでには戻って来ると告げると、カーラを特に見ることなく足早に城を後にした。




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