王女の選択

カーラはしばらくの間席を立たずにぼーっとしていたが、重い腰を上げて片付けると国王の部屋へと向かった。
ルドルフは食事を終えたばかりなのか、高く積み上げられた枕に背を倒した状態で座っていた。

顔色は昨日に比べて少し良くなっているような気もする。

「お皿をおさげしてもよろしいでしょうか」

「ああ。奴は何をしている?」

「城下町の状況を確認し、橋の修復をしているそうです」

「ふんっ。余計なことをしおって」

「食料不足で国民が貧窮しております。戦いによって破壊された橋を修復し国民に食べ物が行き渡るように・・・」

「カーラ。お前は何もわかっていない。橋など修復したら、隣国の格好の的だ。今すぐその修復作業を停止しろ」

「お父様!、もちろんそのことも考えました。しかし今、国民は飢えに苦しんでおります。この戦いによって、農作業する者たちも全て駆り出されておりました。どうか国民に食べ物を行き渡らせることをお許しください!」

ルドルフはぎろりと睨み返すと、一段と低めた声でカーラに言い放った。

「国民を豊かにしてやりたいと思うなら強国にならねばならない。そのためにも何としてもあの鉱山権を勝ち取るのだ」


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