王女の選択
「なっ!カーラ殿っっ!!何をおっしゃっているのですかっ!」
突然の展開にロイドが大声で怒鳴った。
「カーラ殿は一国の王女ですぞ!・・・私、ロイドが受けて立ちます!」
「ならぬ!」
「カーラ殿はお下がりくださいっ!」
「絶対にならぬっ!ロイドにっっ!!・・・・もしロイドに何かあったら、誰が国王を支えるのだ?」
「っっ!しかし!!」
「私に何かあっても、国王がいる。でもロイド、お前に何かあったら、国王だけでなく、ステラに何といえばいい?」
ロイドと一瞬目を合わせて微笑む。
ロイドの妻、ステラは侍女長としてカーラの世話をしている。
母を小さい時になくしたカーラにとって、ステラは母親代わりでもあった。
「ロイドがいないと困る。この戦いは私で終わりにさせたい」
そういって、ジェラルド大公を見据えた。
ジェラルド大公は二人のやり取りをただじっと見つめていたが、ふとカーラの剣に目を止めた。
「其方と遊ぶほど暇でもないのだが・・・」
ジェラルドは心底つまらなそうに首を振りながら、大きなため息をついた。
「其方の首を取って、どうすればいいというのだ?邪魔になるだけだ。だが、ルドルフ殿は違う」
「私の首には何の価値もないかもしれませんが・・・」
カーラはぐっと剣の柄を握りしめる。
「そう簡単にお通しさせる気もありません。傷の一つぐらい残して差し上げましょう」