王女の選択
カーラは大きく息を吐きだすと、ドアにもたれながら父の言葉を消化しようとした。
「ルドルフ殿のお加減はいかがでしたか」
ハッと顔を上げると、そこには腕を組んで壁にもたれかかったヴィクトーがいた。
「ヴィクトー殿・・・何をされていらっしゃるのですか」
カーラは落ち着いた声で返したものの、手の震えを見られないよう皿とカップを握りしめた。
「カーラ殿と少しお話したいと思いましてステラに聞いたところ、ルドルフ殿の所にいると伺いまして。親子水入らずなところを邪魔できないと思い、こちらで待たせていただきました」
ヴィクトーはまったく感情を表に出さない。
静かに話す様子はほんの少しだけジェラルドに似ているようにも思えた。
「今日は顔色がいいように思えました。お気遣いありがとうございます」
そのまま通り過ぎようとしたところ、ヴィクトーが一歩前に出てカーラの行く手を遮った。