王女の選択

「カーラ殿がお一人で全てされることは無理です」

「それでも私の責任だと思っています」

「あのような状況で城の管理を全てされていたカーラ殿に自分は敬服いたします」

「私は何も・・・」

「ジルベールが記録している帳簿を拝見しました。ざっと目を通しましたが、彼一人で決定できるものはほんのわずかです。全てはあなたかルドルフ殿の許可がなければできない。私の勝手な憶測にすぎませんが、ルドルフ殿が気にされているようには思えません。ということはカーラ殿が采配を振るっておられたかと」

「ただ私は・・・自分ができることをしてきたまでです」

ヴィクトーの急な褒め言葉に居心地を悪くしたカーラは、顔を背け敢えて枯草の庭園に目を向けた。

「私はあなたにとても敬意を払っています。と同時にストラウス公国の騎士団長でもあります。つまりジェラルド様の前に憚るものは全て排除すべきだと考えております・・・たとえそれがジェラルド様のお気にいりであったとしても」

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