王女の選択
しばらくの間ジェラルドは何も言わずにカーラの髪の中に顔を埋めていたが、そのうち髪の隙間から首元へと移動し、唇で愛撫し始めた。
突然のことにカーラは反射的にジェラルドの腕を押し返そうとしたが、ピクリとも動かない。
唇が触れるたびにカーラは初めて体験する感覚におののき、ジェラルドの腕の中で溶けていくのを感じた。部屋の中はカーラの喘ぎ声だけが響き渡り、どうにかして呼吸を整えようとしたが、逃げようとすればするほどジェラルドが執拗に攻めて来ただけで、無駄な労力だった。どうしても我慢ならず、体全体をぐったりとジェラルドに預けてやっとジェラルドは顔を持ち上げた。
「夕食の時間だ」
ジェラルドはカーラの髪をサッと撫でて整えると、体を離して部屋を出て行った。
何がしたかったというの?
突然やってきては嵐のようにかき乱し、何事もなかったように去っていくジェラルドを全く理解できなかった。