王女の選択
「わかっているわ」
そんなことは誰にでもわかっている。
それでも現国王がそうしろと命令しているのだから、それを伝えるのが私の役目なのだ。
「わかっていながら、なぜそんなことをおっしゃるのですか。ルドルフ殿もどうかしている!国民が飢えで苦しんでいるというのに」
「リュカ殿。こちら側のわがままだということは百も承知でおります。しかし申し訳ありませんが、明後日まで保留としていただけないでしょうか」
ロイドの言葉を無視して、リュカに問う。
「明後日まで・・・ですか?」
「はい。その日の夜、宴を催しそこで父がジェラルド殿と交渉したいと申しております。その時に具体的に橋の復興等話し合えればと」
リュカは困惑した表情でジェラルドに視線を送ったが、ジェラルドは黙って手を組んだままじっとしている。
「カーラ殿。一つ確認してもよろしいでしょうか」
先ほどまで何も言わなかったヴィクトーがカーラに質問した。