王女の選択
カーラはそれ以降無言のまま食事を口にした。
ヴィクトーの言葉は間違っていない。
それでも彼の言葉、いや、彼の突き放すような言い方がなぜかカーラを傷つけた。しかし、これも全てセルドウィックが敗戦国だからなのだろう。
そう考えると、何も言うことはできなかった。
気落ちしている様子のカーラを慰めようと、リュカがストラウスのことを話し始めた。カーラはぼーっとして聞きながらワインを数杯口にし、気づけばかなりの量を飲んでいた。
テーブルの上にはもう3本のワインが空となって横たわっている。
ロイドは頭をテーブルにつけてぐったりしているし、リュカは何が面白いのかワインボトルを掲げながら笑っている。ヴィクトーに目を向けると酔っていないようにも見えるが、目が据わっている。
これ以上飲んだら本当に酔ってしまうと思い、部屋に引き上げるため体を起こそうとした時、ジェラルドも立ち上がった。
「部屋まで一緒に行こう」
カーラは手を取ろうと腕を伸ばしたがその瞬間、平衡感覚を失ったようにぐらっと眩暈がし、咄嗟にジェラルドがカーラを支えた。