エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた
「綺麗なだけじゃ、駄目なんだ!」
「きゃあっ」

 声を荒げた隼人はスカートを捲り上げ太股へ触れる。
 突然の豹変に、驚いた麻衣子は悲鳴を上げた。

「ちょっ?! また破かないでよ!」
「この前の分と合わせて弁償するから。麻衣子さんの足の感触が忘れられないんだ」
「かん、しょく?」

 吐き出すように言えば、麻衣子は何度も目を瞬かせる。

「俺は、女性の足の毛を剃って処理した後、伸びてきた毛の感触と滑々の肌の感触のアンバランスさが堪らなく好きなんだ。廊下でぶつかった時に偶然触れた君の足の感触は、最高だった。あの後、興奮のあまり限界に達してしまってトイレで処理していたせいで会議に遅れてしまったんだ。遅刻理由を誤魔化すのが大変だったよ」

 はぁ、と息を吐きながら隼人はストッキング越しに麻衣子の左太股から膝にかけて撫でる。

「毛? 肌とのアンバランス……?」

 目を見開いた麻衣子はきょとんとした後、左手を助手席側ドアのグリップハンドルへ伸ばす。

 逃げようという素振りを見せた麻衣子を観念させるため、彼女の唇へ噛みつくようにキスをした。
 息を乱す麻衣子の下唇を食み、軽く吸い上げる。

 助手席の背凭れに華奢な体を押し付け、クリップハンドルを握っていた麻衣子の左手から力が抜け助手席の座面へ落ちた。

 抵抗をしなくなった麻衣子は熱で潤んだ瞳で隼人を見上げ、拙いながらもキスの動きに応え始める。
 此処まできたのなら、後は徹底的に彼女に奉仕をして体から落とすまでだと、暗い瞳で麻衣子を見下ろした。




  駐車場からホテル建物内へ入り、タッチパネルを押して選んだのはお姫様の部屋を彷彿させるピンクとフリルで彩られたロマンティックな部屋。
 これも先日ネットで調べた、『初めてのラブホテルでは雰囲気を重視して欲しい』という女性からの意見を参考にしてこの部屋に決めた。

 部屋に入ってドアを閉め、恥ずかしそうに頬を染めた麻衣子を見た瞬間、我慢できずに後ろから抱き締める。
「シャワーを浴びたい」と訴えられて、迷ったものの隼人は頷く。
 本音は、一日仕事をして汗ばんだ肌を舐めまわしたかったのだが、初回で無理強いするのはいけないと理性を総動員して欲望を抑え込む。

 ホテルに用意されているアメニティをチェックするため、脱衣所へ行きカミソリを隠す。
 麻衣子に断りを入れ、先に浴室へ入り所謂スケベ椅子と呼ばれる椅子に腰かけてこの椅子を使ったプレイを妄想してしまい、危うく思考と体が爆発しそうになった。

(今、爆発するのは勿体ない。落ち着け俺、此処で失敗するわけにはいかない。死ぬ気で我慢しろ俺)

 セクシーランジェリーを着て女豹のポーズをとる支店長(56歳)の姿を想像して、気分と下半身を萎えさせた。

「あ、課長……」

 シャワーを浴びてバスローブを羽織った隼人が出てくると、麻衣子はポカンと口を開けて頬を赤く染める。

「入ってきなよ」
「はい」

 麻衣子が浴室へ向かい、ソファーに座る隼人の耳にシャワーを使っている水音が届き、必死で落ち着かせた欲望が湧き上がってくる。あと少しの辛抱だと股間で自己主張するモノに言い聞かせ、冷蔵庫に用意されていたビールを取り出した。



 シャワーを浴びてバスローブを羽織った麻衣子を見た瞬間、頭の中で何かが切れる音がした。
 ソファーへ押し倒して致しそうになったのを、麻衣子のお願いで踏み止まり彼女を抱き上げてベッドへ移動する。
 ベッドへ組み敷いた麻衣子は全身を真っ赤に染め、潤んだ瞳で隼人を見上げた。

「可愛い」

 初対面では地味だという印象を持った彼女が、ベッドの上では小動物のように見えて、こんなにも可愛いくなるだなんて思ってもいなかった。

 唇から首筋、鎖骨、胸元へ順番に唇を落としていく。触れる度に震える麻衣子を抱きしめた。
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