エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた
(一日触れられなかったんだ。会議が終わったらさっさと仕事を終わらせて、麻衣子さん足のケアをしなければ。でも、その前に……)

 この後の展開を予想して高まっていく期待と興奮に、隼人の股間の隼人が猛っていく。

「補充?」

 微笑む隼人から情事前に似た雰囲気を感じ取り、麻衣子はコクリと唾を飲み込む。

「いい?」

 眼鏡を外さないで、わざと隼人は“斎藤課長”の顔での麻衣子に確認を取る。

「はい。斎藤課長」

 目元を赤く染めた“斎藤課長”からの圧は逆らい難く、麻衣子には頷くしか選択肢は無かった。





「麻衣子さん、これから何をすればいいのか分かっているいるよね」
「……はい」

 斎藤課長のモードの隼人に抱き上げられ、会議机の上に座った麻衣子は彼の視線が促す通り、履いていた黒色のハイソックスを脱ぐ。
 昨夜は、麻衣子の母親が急遽彼女に連絡してきたため会えなかった。
 未来の義母に悪い印象を抱かれるのは得策ではないと、「今日は会えない」と言う麻衣子へ笑顔で了承した。


「自分でムダ毛処理しない」と約束した麻衣子が、自宅でムダ毛剃りをしないだろうと信じた通り、ハイソックスを脱いだ彼女の足の完成度は素晴らしく、隼人はゴクリと唾を飲み込む。
 見た目では分からなくても、触れれば伸びてきたムダ毛の存在がよく分かる。
 肌を撫でる度に背中がゾクリとしたもの、悦びが走った。

「ああ、麻衣子さんの脚。はぁっ麻衣子っ」

 床に両膝を突き、かけている眼鏡がずれるほど、一心不乱に隼人は麻衣子の脚に頬擦りする。
 此処が会社でなければ、会議が無ければ、此処が自宅かホテルの一室だったなら彼女を押し倒して抱いてしまうのに。

「んっ、ふぅっ」

 手の平と頬で撫でられる擽ったさと、隼人の恍惚とした表情が情事の時の表情を彷彿とさせてしまい、麻衣子の気分も高ぶっていく。

 声を抑えても漏れる吐息と、羞恥を興奮で真っ赤に染まった顔を上目遣いで見て、胸が締め付けられる感覚を覚えた。

(必死で声を抑えて、真っ赤になって……可愛い可愛い可愛い)

 気を抜くと爆発しそうになる股間の隼人を叱咤するため、はぁーと息を吐き出した。

 撫でるだけでは足りないと脹脛に吸い付いた時、スマートフォンから鳴り響くアラーム音がこの倒錯の時間はもう終了だと告げる。

「ぁ、会議に遅れますよ」

 離れるのが名残惜しくて足を撫でた隼人は、唾液で濡れた口元を手の甲で拭う。

「勤務時間終了前には会議を終われるよう誘導するから、夕飯におススメのラーメン屋へ連れて行ってくれ」

 息を乱した隼人は、ずれた眼鏡の位置を人差し指で直し手櫛で乱れた髪を掻き上げた。

「はい」

 息を吐いて胸を押さえた麻衣子は頷く。
 熱を持つ頬に両手の平を当てて、隼人を見上げる彼女の両眼は潤んでいてキスを強請っているようにも見えた。

「頑張ってください」
「くっ、ああ」

 会議のことを考え、一瞬だけ落ち着いた股間の隼人が自己主張を始める。
 呻いた隼人を不思議そうに見上げる麻衣子は、自分がどんなに可愛い顔をしているの全く分かっていない。

(まるで小悪魔だな。でも、そこがまた可愛い)

 今すぐ抱き締めたい衝動を堪えるために、隼人は片手で口元を覆う。

 このままでは、トイレで自己処理をしなければ会議に行けなくなる。
 面倒でも重役が出席するため、遅刻するのはマズイ。

 会議室を出て廊下を歩く隼人は、セクシーランジェリーを装着して尻を自分の方へ向け、ぷりぷりと左右に揺らして誘惑する支店長(56歳)の姿を想像して……気分と下半身を萎えさせた。


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