こんなのアイ?




 あれから2日後、仕事で会ったブレントはいつもと変わりない様子だった。そして俺は仕事が終わった彼にストレートに聞いてみた。

「愛実と会ったのか?」
「3日前に会ったよ、克実の気遣いだろうね。ほんとよく気のつく兄妹だよ、克実と愛実は」
「克実と3人で会ったのか?」
「そうだけど…何かあったのか、悠衣?」
「いや…」

 彼女は何て言った?ブレントと…のあとの言葉は‘会った’ではなく‘克実’と続くはずだった?俺が勘違いしている?言わせなかった?トンと椅子に座り込んだ俺を窺うようにしながらブレントが聞いてくる。

「悠衣、ちゃんと話して。愛実が熱を出した日…僕がどんな気持ちで悠衣に電話をしたのかわかっているだろ?あれから2、3週間で…まさかもう傷つけたとは言わないよね?」
 
 ブレントの気持ちは確かにあの日受け取ったんだ…それも含め一昨日のことを話すと、ブレントが頭を抱えて座り込んだ。

「一度もないよ…愛実からの連絡は…僕からもしていない。克実と僕は友人として続いていくから、今後愛実と僕が会うかもしれない…そこで気まずくならないように克実が一緒の時に一度会っておいたらどうかと彼が連絡をくれただけ。克実がバーの支払いをしてくれて、先に外に出た愛実と僕がその女性に会った…愛実は知らない人が自分を知っていて気味悪そうだったよ」

 俺に話を遮られ、女に‘お盛んね、毎晩何やってるんだか’とまで言われ…説明も諦めたのか。

「悠衣、確認したいんだが…」

 ブレントの言葉の先を視線で促す。

「北川さんって見合いとかじゃないよね?」
「まさか」

 待てよ…愛実の前で両親と会うと言ってたのは、そういう勘違いを引き起こす可能性もある?つまり愛実の中で今、自分は俺に信用されておらず、俺のことも信用できない状況…何やってんだ、俺は。
< 133 / 196 >

この作品をシェア

pagetop