こんなのアイ?
夜8時頃、克実のマンションにいる愛実に電話をかけ帰宅を告げ、俺のマンションに来て欲しいと言うとOKだという。すぐに隣のマンションへ向かうと、美男美女カップルといった風にして克実と愛実が歩いてきた。
「わざわざこの距離を迎えに来たんですか、皆藤さん?」
「わざわざ送ってきた人に言われたくありませんが?」
俺がそう言うと克実はにっこり笑って
「で、愛実は何時に帰ってくるんだ?」
と愛実に聞く。
「帰さないといけませんか?愛実が嫌でなければ泊まって欲しいくらいですが…数日会っていないので話足りない。愛実不足」
「はあ…」
克実は大袈裟に声に出してため息を吐くと
「愛実が嫌でなかったらと約束して下さい」
「もちろんです」
「皆藤さんを信じてみようと…あなたがあまりにストレートなので俺も思えてきました…愛実、何時でも帰ってきていいぞ…すぐでも、朝でも何時でも…自分の気の済むようにすればいい」
と愛実の肩を叩きマンションへ帰って行った。
「愛実、行こう」
俺はぼーっと克実を見送る愛実の手を取り
「やっと会えた。克実にはああ言ったが、1時間でも2時間でもいい…一緒にいて」
そう言うと愛実は、うん…と手を握ってくれた。