こんなのアイ?
愛実のマンションのゲスト用駐車場が空いておらず近くのパーキングに車を止める。彼女のマンションへ向かい歩き出したが、ふと思いつき反対側へ歩くとコンビニでビールとアイスクリーム、和洋それぞれのスイーツなどを買い込み再び愛実のマンションへ向かった。
マンションが目に入るとすぐエントランス前で愛実と男が話しているのが見えた。愛実の横顔が困っている風だったので急ぐと男が愛実の腕を掴む。
「愛実」
男が愛実の荷物を覗き込んだのを見て、まだ少し距離があったが彼女の名前を呼ぶと愛実と男が同時にこちらを見る。男が荷物から離した手にあのブランドの腕時計が見え、愛実の元旦那だとわかった。
「どうかしたか?」
愛実を安心させるよう出来るだけ穏やかに聞きながら頭にポンと手を乗せると
「マナ、お前男いるのか?あービールも…そういうことな、はいはい」
男が調子良く一人で話し納得しているようだ。
「それで俺にもう来るなと、はいはい」
営業トークが得意だろうなというテンポの男の話から、愛実が来るなと言ったと知り頭に乗せたままだった手をポンポンとすると彼女は少し首をすくめた。
「相変わらず可愛いな、マナ。さすがにその綺麗な顔してると男が途切れないか、ははっ。あなたも思うでしょう?マナは容姿端麗って言葉がぴったりですよね?連れて歩いて鼻が高い。プラス、マナのバストラインの高さはピカ一…」
「俺は連れて歩いてなんて思いませんよ。可愛くて他の目に触れないように閉じ込めておきたいくらいです。いろんな女に手を出して彼女を苦しめたあなたに愛実を語る資格はない」