こんなのアイ?





 車に乗った愛実はシートベルトを締めながら

「悠衣、ありがとう。また明日から頑張れるって感じ…ふふっ」

 とご機嫌な笑顔を見せてくれる。

「さっきの受け付け開始してくれる?」
「…っと…どのようなお問い合わせでしたか?」
「愛実を食べたいのですが?」
「食べたばかりなのにお腹減ってるの?」
「デザートは別腹って言うだろ?」

 暗い車内でもわかるほど赤くなった愛実は小さく、いいんだけど…と言い何かを考えている。

「けど?」

 愛実の手を取り指を絡め、親指で手の甲を擦りながら聞いてみる。

「…私いま克実のところにいるでしょ?これも考えないといけない時にきてるんだけどね…私のマンションをどうするのかとか…ねぇ、悠衣」

 彼女はこちらを真っ直ぐに見つめ

「ちょっとお問い合わせと話がズレてもいい?」

 と聞いてきた。

「もちろん。何?聞かせて」
「私、克実のマンションとか私のマンションとか関係なくね…悠衣とこうしてもう少し一緒にいたいんだけど…前に言ってくれてた一緒に住む話は…まだ有効かな?」

 俺の反応を窺う声で聞いてくる愛実の頬を片手で包み答えた。

「永遠に有効。うちにおいで、今すぐに」
< 170 / 196 >

この作品をシェア

pagetop