こんなのアイ?





 エレベーターの中で愛実の唇を大きく塞ぐ…っちょ…愛実の抗議も聞かず彼女の口内を舌で撫で回す。1階に着いたエレベーターの扉が開いたが、彼女を味わう俺は止まれない…再び扉が閉まりかけたとき慌ててエレベーターの外に出た。彼女の荷物を持ち、手を繋ぎ俺のマンションへ急ぐ。

「悠衣っ…」

 小走りの愛実に

「悪い…」

 立ち止まり繋いでいた方の手をそっと離すと、彼女を片手でぎゅっと抱きしめる。

「兄貴に妬くなんて…自分でもどうかしてる…ごめん、愛実」
「大丈夫…こちらこそごめんね。克実、絶対に面白がってたよ。早く帰って来いよなんて…帰るのは明日の仕事の後って決まってるのにわざわざ言うんだもの」

 俺の腕の中でクスクス笑う愛実に心のトゲが抜き取られていく。

「早く愛したい、愛実」

 彼女の耳にキスしながら言うと愛実は僅かに頷き

「…お願いします」

 と顔を見ずとも照れているに違いない声で答えた。マンションで彼女の手を引いたままバスルームに連れて行き、荷物を渡す。

「何持ってきた?ここのタオルとかは好きに使って」
「ありがとう。明日の出勤の用意と部屋着を持ってき…」
「部屋着はいらないだろ。風呂のあとはそのままベッドだ。絶対何も着るなよ」
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