こんなのアイ?
友人の結婚式の日ではなく‘デート’の日にしてやる…言わないがな。
マンション下から電話をかけるとすぐに愛実が駆けて来た。こういうところが可愛くて仕方ないってか俺…運転席で頬が緩んだのを気づかれないように
「走るほど楽しみにしていたのか?えらいな」
と助手席に座ったばかりの愛実の頭に手を置くと、心外だとでも言いたげに少し頬を膨らませた彼女は
「お待たせしちゃいけないと思ったのよ…おはよう」
こちらを向かずシートベルトを引きながら言う。
「お前…可愛いな」
思わず頭を引き寄せそこへチュッと唇を落とすと
「行くか」
頭を押さえた愛実をそのままに何もなかったように車を出す。その視線を感じたまま
「何?もっと?」
運転しながら聞いてやる。愛実が口をパクパクするのを横目で感じつつ静かに車を走らせ、30分ほどでパーキングに駐車すると後部座席に腕を伸ばしコートを取りながら愛実に聞く。
「ここ来たことあるか?」
「ない。前に何かで見て興味はあったから嬉しい」
「そうか、良かった。中はコートいらないだろうが…行くぞ」
大きなドームが視界に入るここは熱帯植物園。愛実の部屋には小さなサボテンと観葉植物が数個あったのと外は寒くなってきたから、まずはここから1日を始めようじゃないか。