こんなのアイ?




 彼女が選んだのは、木の実のキャラメルタルト、林檎タルト、ラ・フランスタルト。二人の珈琲とともに注文すると彼女に手のひらを向け

「ん、出せ」
「…?あぁ」

 スマホの写真を一緒に見る。

「全員同じ顔に見える」
「えーっ、それはちょっとおじさんっぽい発言だよ」
「愛実が一番可愛いな」
「いないし…ちゃんと見てる?」
「花嫁さえ劣ってる」
「…」
「本当に思って言ってるぞ。ドレスアップした奴らより今日のセーターにスカートの愛実の方が良いだろ?」

 黒いショート丈セーターにグレーのペンシルスカートというシンプルな格好だが、そのスカートのハイウエストとヒップから腿にかけての絞られ方が彼女のスタイルの良さを際立てている。そしてパールのピアスが似合っており、写真の中のどの女より良い女だと思う。

「幸せそうだね…おめでとう一華」
 
 小さく呟き画面を暗く落とした愛実の額を軽く指で弾く。

「っ…た」
「お人好し過ぎ」

 額を押さえた愛実に言ったところで珈琲とタルトが運ばれてきた。

「すごく美味しそう…」
 
 額を押さえたまま言う彼女に笑いそうになりながらラ・フランスのタルトを一切れフォークに取ると口の前に運んでやる。
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