夢見るユメに僕は夢中
夢
「──肇、一緒に帰ろ」
教室の後ろの扉からそう声をかけると、表情を和らげた彼が「今行く」と返してくれる。
たまに廊下で見かける時は、どこか冷めたような、全ての物事に対してどーでも良いと思っているような顔をしているくせに、
こういう時は嬉しそうにするんだから、肇はずるい。
「わざわざこっちまで来なくても教室まで迎えに行ったのに」
「今日は珍しくHRが早く終わったから」
肇とこうして並んで廊下を歩くのはもう慣れた。
初めのうちは皆から注目を浴びていたのだけれど、今ではもうすっかり落ち着いている。
注目されていた理由は簡単。
どこにでもいるような至極平均的な私という女が、女子達から人気者の肇の彼女になったから。
綺麗な顔つきの彼は、そのミステリアスな雰囲気もあってかよくモテてた。
どうして肇がこんな私のことを好きになったのかは未だに謎だけど、
恋人っていう関係にお互い満足してるんだから、野暮なことは考えないようにしようと思う。
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