夢見るユメに僕は夢中
かわいー……
って、素直に思った。
下手したら漏れてたかも。
「ハギワラさんってストーリー設定が天才的だよね。現実にも起こりそうで、読んでてワクワクしちゃう」
「あ、私の名前知らないよね?ゆめっていうの。よろしくね」
「でも意外。毎日寝てるだけだったから、本は読まない人なのかと思ってた」
小さな唇を動かして、彼女は沢山喋った。
今まで目は合わなかったけれど、存在は認知されていたらしい。少しホッとしつつ、どう返そうか迷う。
「えー……と、外であまり読まないかも」
「あぁ、家で読みたい人だ?そういう人もいるよね」
昼休みが終わったら、ハギワラユージで検索をかけよう。
授業中でも構わない。何か1ページでも読んで、次の話題にしたい。
「……どうして本を読むのが好きなの?」
唐突だったかもしれない、と思ったけど、俺の質問に彼女は「えー?」と可笑しそうに笑ってくれた。
「んー……私は、登場人物と一緒に本の中で繰り広げられているストーリーを体験出来るから、かなぁ」