夢見るユメに僕は夢中
超重要任務を遂行するスパイ、医者になんてなりたくなかった医師、記憶喪失の宇宙飛行士。
秘密を知った女子高生、過去に傷を負った老人──。
数え切れないほど存在している小説の数だけ、その本の中で生きている誰かがいる。
困難や危機を乗り越え、涙を流し、笑い、結末を迎える。
そうした経験から得たその世界の住民の価値観を、知ることが出来る。
「人生の経験値上がりまくり。」
悪戯っぽく笑いながら、彼女は続けた。
「ハギワラユージの本は、登場人物の年齢層も設定も幅広いから、読んでて飽きないよ。
ハジメくんもそう思うでしょう?」
──こうして、本の世界に夢見るユメに、俺はいつの間にか夢中になっていた。