夢見るユメに僕は夢中
「照れてる?」
「もうっ、照れてない!」
ぷいっと顔を逸らすと机の上に置いていた買ったばかりのハギワラユージの本が目に入った。
私に声を掛けるまで、肇は本なんか全く読んでこなくて。
それなのに、私に合わせて本を読んでくれてた。
ハギワラユージの本、全部読んだって、前に言ってた。
一度にどのくらいのお金を使わせてしまったんだろう。
そう考えたら、申し訳ないと思ってしまう。
「ゆめ?もしかして変なこと考えてる?」
「……ううん」
「考えてるでしょ。あのさ、違うからね」
いつの間にか、肇は私のすぐそばに来てくれていた。
顔を覗き込んで、優しく髪を撫でてくれる。
「俺が伝えたかったのは、夢のおかげで俺も本を読むのが好きになったよってこと」
きっかけは不純だったかもしれないけれど、それでも夢に出会えたから、読書の楽しさに気づけた。
「無理して合わせたんじゃないから。俺が自分から本の世界に飛び込んだんだよ」