夢見るユメに僕は夢中
「……ん」
「俺のスマホの本棚、前に見せたでしょ」
「ハギワラユージと、他の作家の本もいっぱいあった」
「本に夢中になってなきゃ、あそこまで増えないよ」
「夢があんまり楽しそうに本の話をするから、俺も人生の経験値上げたくなったの」と、肇はそう言う。
……私が一番最初に話したことを、まだ覚えてくれてたんだ。
そのことに気づいて、胸がきゅーっと鳴る。
「でも、あの時嘘ついてごめんね」
「……ううん。今更気にしないよ、そんなこと」
好きな人と同じものが好きって、幸せなことだ。
同じものを好きになろうとするのも、素敵なこと。
「──私のことも、私が好きな本のことも、好きになってくれてありがとう、肇」
本以外にも、肇が好きなものを教えてよ。
私も肇の全部を好きになりたい。
……でも……
「……あの、肇、」
「なに?」
髪を撫でる手を止めて、不思議そうな顔をする。