夢見るユメに僕は夢中
……。
可愛い、とか、言われるこっちが恥ずかしくなるような言葉を、彼はサラリと言ってしまうから。
やっぱり、肇ってずるい。
「……っ本屋、寄ってもいい?」
胸をときめかせていることを気付かれないよう、それとなく話題を変えてみた。
可愛いって言われるだけで余裕がなくなってしまうから、本当に困る。
「──あ、ハギワラユージの新刊」
本屋の新刊コーナーに手を伸ばすと、肇がとある作家の名前を口にした。
ハギワラユージは、私の好きな作家の1人だ。
「バイト代やっと入ったから、買おうと思ってたんだよね」
小さい頃から本を読むのが好きで、特にこのハギワラユージのファンだった。
登場人物の心理描写が細かくて、あっという間に物語に引き込まれてしまう。
現実にありそうでなさそうな物語設定が、私の心をワクワクとさせる。
ハギワラユージの好きな所を挙げたらキリがない。