夢見るユメに僕は夢中
『ハギワラユージが好きなの?』
だからこそ、あの時図書室で肇にそう声をかけられた時は本当にビックリしたんだ。
「好きな人と好きなものが同じって嬉しいよね」
そう言って笑うと、なぜか肇は浮かない顔。
……どうかした?
「ユメ、」
「うん?」
「俺達もう付き合って半年が経つわけだけど……」
1年の秋頃にお付き合いを初めて早半年。
2年のクラス替えでも同じクラスにはなれなかったけれど、毎日一緒に帰っているし、たまにデートもしてる。
肇は私のことを第一に考えてくれていて、大切にしてくれてるんだなぁ、っていつも思ってる。
毎日が幸せで、満たされてる。
「肇?」
「……ユメにずっと隠してたことがあって」
隠してたこと?
困ったように小さく笑って、肇は私が手に持っているハギワラユージの本に視線を移した。
「今だから言うけど、ユメに声をかけるまで、俺小説なんて全く読んでこなかったんだよね」