夢見るユメに僕は夢中








学校の図書室は滅多に人が来なくて静かだと聞いていたから、昼寝をするにはちょうどいいと思った。

ようやく涼しくなってきた10月中旬、図書室の静けさを求めて廊下を歩いて行く。



秋の中間考査が終わり、試験勉強からもようやく解放されたというのに、胸の内にずっと潜んでいる小さな苛立ちはまだ治っていない。


苛立ちの原因は、今も感じるこの視線。

横目に視線の先を確認すると、ぱちりと1人の女子と目が合った。

その瞬間に聞こえてくるのは「やばい」とか「どうしよう」とか、そんな言葉。
すぐそばにいた友達らしき女子に黄色い声で話しかけている。


別にやばくないし、どうしようって、何がだよ。



俺に用があるなら、声を掛けてくれ。

何をするでもなく見てるだけなら、もう放って置いて。


その視線も、黄色い声も、全部鬱陶しくてたまらない。





──ガラッ





けれど、そんな苛立ちはここに来るとスッと消えてなくなってしまう。

旧校舎にあるこの図書室。

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