空の表紙 −天上のエクレシア−
『いいよ』の声に目を開くと
いきなり紙の束が崩れ落ちて来た

「うわっ!?」

「痛てて…。シィラっ!
なんで手紙棚の所に
避難輪を出しとくんだいっ!!」

「うるさいねっ!
こっちも忙しいんだよ!!

もー…。なんだか建国祭で
あちこちの魔導師から
入国願いが来てて
…まあ真っ当に願い出て来るのは
きちんとした術士だけだけど
でもこんなに多い原因は、これ」

シィラが手元の半円石を数回まわすと
壁に沢山の文字の羅列が
光と共に映し出された




【例の『扉』に関する話題専用】

・魔術師限定です
・中傷等は禁止(した瞬間
ここに仕込んだ魔力が発動して
暫く使用禁止となります
−−−−−−−−−−−−

カミラ:『え!何々?!例の力の事?』

イエソド:『つか超欲しいよね
その力!!』

理性派:『しかし異形化を伴うとか。
リスクが大き過ぎますね。
私は勘弁かな。』




−ノアールが驚く

「なんだこれ!??
壁にものすげー速さで字?!」

「水脈を使った全国通信だよ。
久し振りノアール。

植物に流れる水に魔法を使って、
水がある所なら
離れた所でも文字で話が出来るの
しかもここは「裏」だし、媒体が水だから
流してしまえば会話の記録は残らない
何言っても足はつかないって事

…ここで少し前から
『扉』の噂が出てね
一応ガセとは認識しながら
ネタとして盛り上がってたけど

今朝『私が扉を開く為の石のひとつを持っています』って
発言したのが居て
それから祭になって
ずっと続いてたのよ
それっきり発言者が出て来ないから
今は落ち着いてるんだけどね」


「まさか…」

「あはは。私も性格から考えて
王本人かなーと思ったんだけど。
魔力無いと書き込め無いし
誰かに頼んでっていうのも考え難いし…」


画面を見つめる三人の後ろに影が立つ
オデッセイが覗き込んでいた

「なんだ。この糸垂らしたのオレー。」

「?!」

「オデッセイ?!」





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