空の表紙 −天上のエクレシア−
ノアールは箱を開き、腕輪を取る
箱の中には青い石が一つ
恐る恐る指を触れてみたが
それが赤く染まる事は無かった
「…フリートって奴は
どこまで知ってるんだろう」
「ま、とにかく皆おいでませ。
掲示板は常時繋げっぱにしとくから
動きが有ったら教えるね
皆は奥行って、少し寝て
タコ焼きでも食べて
今後の対策でも練って頂戴。
必要な物あったら
何でも持ってっていいわよー」
「すまないね。シィラ。
さ、サリュもゴーレムとは
また遊ぶ事にして、皆で奥行こうか」
サリュは頷き
『ばいばい』とゴーレムに手を振り
皆の側へ駆け寄る
幾つもある集配棚の横を通り
一番奥の一角に
その無機質な空間には不似合いな
青い硝子板を張った様な
小さな扉があった
ガラが取っ手を回す
ギィ…
重い扉を開けると
真っ暗な闇
川の水音が聞こえ
目が慣れて来ると手摺の無い
ただ真っ直ぐな橋が
浮かぶように架かっているのが
見えて来た
「ん。サリュ 手」
「うん。」
オデッセイがサリュの手を取り
進み出す
それを見てノアールもガラの前に
乱暴に手を出す
「ばーさんもほら
足腰弱ってんだからよ」
「いらないよっ!自分で渡れる!」
「…冷や水は良くない。」
「!!ジークまで!うわあぁあん!」
そう叫ぶとガラは
ひょいひょいと橋を駆けて
行ってしまった。
「…健脚だな。」
「はええ!!」