空の表紙 −天上のエクレシア−


街を抜けると夕焼けになった

赤い棒の様な虫が飛ぶ。

空き地の土の管の上で
水鉄砲を持つ少年達が走り回り
少女達は二人で縄を回し
そこを一人が飛んで居る

細い路地に促され入ると
引き戸の平らな家

「靴は脱ぐんだよ」
皆それに習い藁で作られた様な
床の部屋に入ると
小さなテーブルを囲んで座った



カナカナカナ…と
遠くから何かの鳴き声


「はは
ジークにはこの部屋狭いな」


木で出来た建物の天井に
頭が届きそうになり
慌てて腰をかがめたジークに
オデッセイが、そう言って笑う


「うむ だが嫌いじゃない」


シノビ族が住む、
小さな島国の建築様式に
とても良く似ているようだ




「白いのがいる。」

サリュがニャアと鳴く生き物を発見し
捕まえ、縁側で遊び出した


小さな木戸の棚から
ガラが丸い缶を取る

カパッとそれを開けると
新緑の様な清々しい香りが
部屋の中に広がった

取っ手の無い丸い器に
茶を煎れながら呟く


「…核心に行こうか
ここに皆を連れて来たのには
意味がある」





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