空の表紙 −天上のエクレシア−
「実はここは
本邸ではないんだ

森の緑にたゆたう…そう
俺のプライベートハウスとでもいうのかなあ

父や母は
ここから南へ行った海のある避暑地で」


「あの!!」

「え? あ、
ああなんだい?ルビナ君。
聞きたい事でもあるのかい?」


「これ!」


バサリと両手で
花束をピッキーノに押しつけると
「早くしないとお花がしおれます!」


頬を膨らませて睨むルビナを見て
ピッキーノはやっと慌てる


「あ、ああそうだったね
ルビナ君。」


ヒッキーノはカチン!と
白いタイツな両足を揃えると
両手を斜めに伸ばし、
ぱんぱん!と合図をした


どこからかメイドが現れ
ルビナの手から花束を受け取る


「君!
それは大広間の一番目立つ所へね。
花瓶に結ぶリボンには「ギン造園」と
金糸で急いで刺繍する様に
― そうすれば
それを見た貴族達が
店の名前を見知ってくれるからね。」



「え、あ…ありがとう!
ピッキーノさん!」


「ん あ、いや。
…ほら早く運んで行きたまえ!」


慌ててそう言うピッキーノの横顔が
少し赤くなっていたのを
ルビナは見逃さなかった
(ちょっと困った人だけど、いいトコもあるんだね)





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