空の表紙 −天上のエクレシア−
―ルビナがモジモジとしていた
エプロンの端を
引っ張ったりなんかして
足をくねくねしている
なんだか
頬も桜色に赤らんでいるし
瞳まで潤んでいる
――…これはわかるぞ俺も
も、もしや…
「…えっと…その…
あの…ね?」
「あ…ああ。何だよ」
「……公園では…ありがと」
「い、いや」
「…それ…でね?」
「何だよ早く言えよ」
「………」
(―正直、俺としては、
サリュが気になってる
今現在なわけだけど
ルビナは幼なじみだし
ま、悪くない奴だし
向こうから言ってくるなら
付き合ってやらん事も無いし…
ん?!
「え…ルビナ
気絶してたんじゃなかったのか?!」
「ぬぉ?!
そ、そんな事はいーから!
その…あの人よあの人!!」
「あの人?」
「ね…あの後どうなったの!?皆行っちゃったけど!」
「え?」
焦れた様なルビナの熱い瞳が
アクアスに迫り
そして口を開いた
「あーもお!!
アクアス鈍いよ!!!
……………あの吟游詩人の人!
ほ、ほらアタシの事助けてくれたし!
お礼言いたいなーと思ってさ!」
………………。
…………。
かなりの勢いで
アクアスはムッとする
「……さあ。
皆行っちゃったからな。
わかんね。」
「…どこ行ったら会えるんだろう…」
「は?」
「あややや!!
こっちの事!アクアスもありがとね!
いてくんなかったら
どーなってた事か!」
「あ〜…。ま。
市民を守るのが我々剣士の
役目だからな。」
先程迄を忘れたかの様に
少し誇らしげに鼻を擦る。が、
ルビナはまたため息をつく
もうアクアスの事など
眼中に無いようだ
「……おまえさー
アイツ盗賊だぞ?!
しかもだな!!
…しかも多分、サリュさんに
星をやるって、言った男だぞ?!」
―…そして言ったアクアスも
言われたルビナも同時に
海よりも深く、へこんだ。