空の表紙 −天上のエクレシア−

「ごっ ごめんね
邪魔してすまない」

「こっちこそごめんなさい!!
いらっしゃいませ!
えっと
何をいかほど差し上げましょうか?」

「…赤い花がいいんだ
花束にして欲しい」

「絵かきさんですか?」

「…あ…え」

―その怖ず怖ずとした男は
真っ赤な髪で
脇にはスケッチブックを携えていた

「…持ってきちゃってたんだ」

「あはは!うちもたまにありますよ!
ムチ持ったまま家戻ったり!」


赤毛の二人は笑いあい
店内の花を指差しながら
談笑している


なのでアクアスは
『お前それは怖いよ…』と
言おうとしたがやめた。


……しかしこの人
ホントに絵かきかな?
剣とか持ってる感じがするんだけど…
肩の、後ろの辺りに
特徴出るんだよな…
兵隊の体つきに近い気がするんだけど…
うん 最近はやってないかもだけど

―…試してみようかな

アクアスが足元を探ると
ちょうど小石があった
そして―




「………!」



―その赤毛の男は
この至近距離からの
思い切り投げた小石を
スケッチブックで避けた


「…ちょ!!何やってんのアクアス!!」

「やっぱそうだ!あなた剣士ですね!
どこの所属ですか?!
それとも傭兵とか?」

「………あ…剣士じゃ…
無い…です
…僕は…」


―彼は真っ青な顔で
その場から駆けて行ってしまった

「…え なんで?」

「何でじゃないでしょ?!
お客さんになんて事す… 」


そうしてルビナに
思い切り背中を叩かれた時



―――いきなりの振動が
街を襲った。



「っゃああああ!?」
「なっ!!なんだ?!」

――慌てて外に飛び出す
太陽の光が影に遮られ上を向くが
点滅していて良く
見えない








――…確認してからも
アクアスは暫く動けなかった



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