空の表紙 −天上のエクレシア−
――――幾つもの 巨大な、影。
醜悪な棘の伸びた翼を広げる二つ頭の獣
先程の振動の犯人は
外門を踏みつぶし街に侵入した
一つ目の蒼黒い肌を持つ巨人だった
「な、なんだあ?!うわあああっ!」
奥から何事かと出て来た親方も
それを見て絶叫する
街の人々が逃げ惑う
巨人はゆっくり足を進め
建物の間の細道に詰まった人を
見付けては
手で掴もうと腕を伸ばす
「痛っ!」
ルビナが叫んだ
…気付けば赤い複眼を持つ
手の平程もある
気味の悪い蛾に似た虫が
周囲を覆っていた
「うあっ!こいつ!離れろっ!!」
剣で払い除けルビナを庇うが
きりが無い
「とにかく城へ行こう!
あそこなら安全だ!!
親方も急いで!」