空の表紙 −天上のエクレシア−
…波の音に目を覚ました
汗で服が絡み付き、巧く起き上がれない
もがいていたら声がした
「海はいいねぇ…」
それに適当に答えた。
「…なんでですか」
「青いから。」
(………。
『変な奴。』
それがあの人に対する第一印象
よもやそれが一国の王であるなんて
「気にせずともいい。
いやびっくりしたよ。
人だかりが出来ていたから
何か出し物でもやっているのかと…。
よもや違う出し物を見てしまうとはな!
あっはっはっは!」
「いやもう。
…お恥ずかしい…。あれ?」
だだっ広いベットの上で
これでもかと平伏していた所を
仕切りの向こうから少年が覗いていた
「こらこら。フィキノピトゥ。
覗くなんてお行儀が悪いな。
挨拶しなさい。――弟だ。」
後から聞けば、兄弟の年齢差は
なかったらしいが
随分幼く見えた記憶がある。
「!?
そんな弟さんて事は
王弟君から!
私に挨拶なんてっ!」
「ははは。
そういう帝王学っぽいのは
後から学ばせればいい。
まずは人としての基本。
初めて会った人には
挨拶をキチンとする。」
「こんにちは…」
おずおずと微笑む彼と
俺はすぐに仲良くなった