空の表紙 −天上のエクレシア−
――――――――――城―
怯え慌てるピッキーノを尻目に
外の騒乱を
落ち着いて窓から見下ろすフリート
「な、何が起こったんだ?!
あれか?!
どこかの術士が魔獣を呼び出して
私が怯えているうちに先に
『扉』を開けようと…。
…そうか!
もうひとつの石を持っていると
言うのはそいつだな?!
そ…そうはさせんぞお!!」
「…もう一つの石?」
「ああ!
書込みがあったんだ!
魔術師限定の掲示板だからな!
しかもあそこは」
「それは無いでしょう。石はひとつ。」
「…なんだお前、
この件に関しては
毎回やけに
自信たっぷりに言うじゃあないか!!
…見た事があるとでもいうのか?」
「――扉の中に入った事が
何回かあります
随分と前ですが…
向こうは…
覚えていないでしょうけれどね…」
「初耳だぞ…」
「とにかくこの魔物を
誰が送り込んだかは解りませんが
…利用しましょう
王はピッキーノ邸へ
御戻りになって下さい
…考えがあります」
「…?」
「後は『唄』……彼女だけです…。」