空の表紙 −天上のエクレシア−


「……そうだね
でもこれが私の役目だ」

――ガラは空を見ながら呟いた



「『何を望んだんだ?』って
ガラは言ったよね
だからオレ、考えたんだ

―オレはさ…多分
人を超えてどこかへ翔びたかった。
それで当然とも思ってた。
…オレだし。

ジークは多分…
自分に強さを求める気持ちも
凄いんだろうけど
守ろうって気持ちがすごく強い。

本人にいったら
絶対否定すると思うけどね。」


「あはは」


「だから…
日常と引き換えに
『力』を手に入れた。
雪崩から村を守り、
次使ったのは、弟を助ける為に。

ガラさ…
歌ってるの聞いた事ない。

…多分ガラはあんとき
何かと引き換えに
『声』無くしたんだろ…?

でもさ…いいじゃん。
嗄れてたって、枯れてたって、
好きなら歌えばいい…。

――そうか
ノアールのあの速さはさ
…ホントはきっと
あの時すぐに、彼女の元に
誰よりも速く、
行きたかったからかもしれない……」

オデッセイは
ガラの肩に頭を乗せた



「ひひ。
酔ったね オデッセイ。
お前は諭し酒か」


「――酒じゃないよー
…さっきも言ったけど
『場』に酔ってるかもしんない…。」


点滅する街の看板に
照らされたオデッセイは
そのまま肩にもたれて
目を瞑ってしまった


「あーあ。
ノアール!ちょっときとくれ!」


「あ?!
オデッセイ酔っ払った?!」


「よってないー。」

ノアールは
オデッセイの脇に入り
ガラには尻を叩かれた


「酔ってないーつーのは
酔っ払いの証拠だろうがよ」

ノアールが笑う



「俺は酔ってるぞ」

「ジークはそっち!
なんだなんだ皆して」

ノアールがジークに肩を貸す



―― その時一斉に
祭の提灯が消えた





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