空の表紙 −天上のエクレシア−



――――――――牢獄の消灯


白兎の部屋の窓が鳴る

眠れなかったのは
同室の皆も同じの様で
こっそり光魔法を照明にして
白兎達は賭け事を始めていた

「びっくりしたおー
ここは術使えないもんと
思てたから」

「――俺はあんたが
白魔術師つーのが驚きだぜ。
こう…白ちゅうと可憐で
…守ってあげたくなる様な…」


「悪かったねぃ!
でっけー坊主で…お!ちと待った!」

「待った無し!
脱獄とか出来ない様に
黒系は使えんみたいだな。
俺最初試したし。
よっしゃ!上がった!」

だあああと皆声を上げる

――そんな時、牢舎の扉を開ける音

(やべ!見回り!
(いつもより早いじゃねーかよ!

皆、慌ててベットに飛び込む



ランプを持ち
入って来たのはキャサラだ

しかしいつもなら
牢の部屋を一個一個見回るのだが
足音がまっすぐこちらに向かって来る

『バレた?』
『やべー』

――ランプの明かりが差し込む


「…すみません。
白兎さん。
起きてらっしゃってますよね」



「…はーい。ごめんなさい。」


きししし。と
周りの小さな笑い声


「すみません。…お願いが」

「ぬ…?」

何故か鍵が開かれ、牢を出る

『こんな夜中に何事ー?!』と
後ろで揶揄する声が聞こえるが
キャサラは真剣な顔で森を進む







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