空の表紙 −天上のエクレシア−
白兎は、よっこいしょ。と声をあげて
ベットの下に座る
少年の目線と同じ高さに
自分を合わせて話しかけて来るのを待った
「………るよ…。」
「ん?」
「…いっぱい…怪物が来るんだ…」
「どこに? 夢かな?」
―――少年は首を振る
「……ふーぬ。よーし!
ウサタンのお膝に来な!
よいしょーっ!」
子供に暫く名前や年を聞いていたが
少しづつ見えた物を聞いて行く
「その怪物はさ
何しようとしてる?」
「判らない…。街に飛んで来る怪獣は
まだいいの。
……お城にいるのが……怖いんだ」
「?
城に怪獣…?」
「…その先が判らない…。
だから怖いの…。
ボクいつでも何が起こるか判るのに…。」
白兎は少し考えて
「なあボウズ。
俺も坊主だけども。」
キャサラがくすっと笑う。
「これから
何が起こるか解らなくて怖いのは
当たり前なんだぜ?
ウサタンみたいに、
おにーさんでも判らないんだもん。
まだ生まれてから年数えた方が
早いよーってな君の前には、
いーっぱい道があって、
そのどれを選ぶかは君なんだお?」
少年はまた強く首を振る
「ううん。そういう事じゃないんだ
今までは最後には一本道だったの
…皆滅ぶ道。
『視える』子は皆言ってた。
赤ちゃんが生まれてすぐ泣くのも、
大抵はそれを見ちゃうから
だから皆言ってた。
何やってもあの道に行くなら
遊んでた方がいいやーって。」
「…なんかそれ
ウサタンが
小さい頃に流行った奴みたいだなぁ
大昔の予言者の詩を取り上げてね
だからどうとでも取れるのよ
で
皆
『世界が滅ぶなら遊んでた方が〜』って
結局その年になっても、
なーんも起こらんかったけどね」
「あー…ありましたね!そういうの。」
キャサラがぽんと手を叩く
「解ってもらうの無理なのかな
…『本』が見えるんだ。
最近見つけた。
前は無かったんだ。」
「本?」