空の表紙 −天上のエクレシア−
―――――祭の提灯が一斉に消えた
『皆!!戻って来てぇや!!』
街の看板全てに
シィラの姿が表示される
『キャサラから突然連絡が入ったの!』
「解った!皆戻るよ」
オデッセイが
ぱっと目を開けて駆け出す
ノアールが続いた
「…マジで酔って無かったのか」
すると逆走する様に
サリュが駆け出した
とっさにジークが肩を掴む
「どこへ行く」
「ねこ。ねこ連れて来るの」
「なぜ」
「…だって、あの子、
わたしたちが行くまで、
ひとりでいたよ」
「野良の生物だ
外に沢山仲間がいるだろう
平気だ …それに」
サリュがきつくジークを見据える
ジークは続けた
「多分あの『ねこ』は
ここから連れ出したら消える…
その時泣かれるのは勘弁だ」
「…なら、わたしも消える?
塔から出たから消えちゃう?」
「―――皆そうだ
ここの皆は今
『居るのに居ない』
だから消えない為に頑張ってる
…わかるか」
そう告げ
ゆっくり振り戻り歩き出すジーク
一度だけ
サリュは振り返り
そしてジークの後ろを追った