空の表紙 −天上のエクレシア−



「お坊さん。ここ来て座って。」

蒼白い月の光が
校庭を照らす

その真ん中に
子供達が集まって来た


促されるまま
子供達とキャサラが手を繋いで
作った
輪の中に入る


「…ボクらは魔法使いじゃないから
術を知らない
だから『唄』で力を出す。」


年端も行かない子供が
大人と対等に口を利く
だがそんな状況が気にもならない


「目をつむって。
手で覆って。絶対あけちゃだめだよ。」



―――…ゆっくりと
子供達が回りだす

小さな歌声が始まった



(ああ…
これは
あの『本』から聞こえたのと同じだ…


(そうだよ。
『本』は子守歌で
今半分眠ってる。

暴走した『本』をなだめる為に
さっきいたあのお姉さんが
『歌声』ごとあげちゃったんだ

……本当に、ごめんねって…
お前から、伝えて欲しい――



え?お姉さん?
どのお姉さんさん?
何で君が謝…うわ


――目を閉じていても解る
青い閃光

回る輪から夜空に
光が上がる


それが煌めきとなって消えると
白兎の姿は消えていた


子供達とキャサラは
夜空を見上げる





「―…青の王よ
本当に、よろしかったのですか?
行かせてしまって…」

キャサラの問いに
青い瞳は答える


「…消える瞬間に
この子供が身体を貸してくれた
…夜が明ければ
私はまた青の中に消える…
伝えられて…よか…」


そう呟いて
少年は、キャサラの胸に倒れ
深い寝息をたてた








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